社交ダンス を踊るときは果たして上体が先か、下が先か!?
社交ダンス は上半身と下半身を分けて使う練習をよくします。シャドーMANIA!の動画の中でも初期の頃からたびたび体の上下の時間差を意識することが大切である事をお伝えしてきました。
人間は体の作りとして縦長な生き物です。そういう体で踊る時、速い体の切り返しやペアダンスならではの”回り込む意識”には上体と下半身の時間差が不可欠だと思っています。これは社交ダンスに限らず他ジャンルのダンスからスポーツや武術を含め、人間の体が力強くスピーディーに運動する上での基本要素なのではないかとも思っています。
上手なダンサーの特徴
社交ダンスだけを考えてみても、特に競技選手を見た時に上手なダンサーの定義みたいなものがありますよね。その上手なダンスを表現する言葉の中でも代表的なものとして「足が強い」と「上体がよく動いている」という二つの要素があります。
長年ダンスをやってきた印象としては、平成初期のころの日本は「足が強いダンサー」が注目されていました。それが海外選手を招待するような大会が増え、多くの海外ダンサーを目にするようになると、海外選手の上半身のしなやかさや躍動感が日本人選手と全然違う!と注目されるようになりました。ちょうど私が高校生くらいの頃ですが、自分でも「足が強い」ダンスを目指すのはみんな一緒。足で立っているのだから足をしっかり使うのは必然。だから他の選手と差をつけて外国人ダンサーのようになるには「上体がよく動くダンサー」を目指そう…と思っていました。
実際の練習の中でも足を使う意識よりも上半身、特に肩甲骨や背中の真ん中を動かすように意識しました。この時点ではまだ上下の時間差という概念は持っていなかったので、ただがむしゃらに動かしていた感じです。
上体と下半身の運動はどちらがより重要なのか
プロになって引退した今、ラテンの基礎として上体と下半身の時間差がすごく重要だという事を人に伝えるようになりました。その中で時々生徒さんに聞かれるのです。足元や骨盤の運動と、上半身の運動のどちらが実際にはより重要なのか。
結論から言うと上も下も同じくらい重要です。
ただ上が先なのか下が先なのかと言われると、ラテンを専門で踊っている自分としてはターンの直前は上体が先に運動しますし、移動する時の意識も上体(背骨)を先に進めたところに足を着地させていく意識で踊っています。
しかしスタンダードの先生は真逆の事を言っている方がいました。
スタンダードは下半身が先に動いて上体が後から決まるというのです。
スタンダードを習うと、ラテンと全く同じだな!と思うこともあれば、ラテンと真逆だな!とかやっぱり全然違うなと思うこともたくさんあります。
一つ言えることは、上下のどちらが先なのかと言うのは、どこをスタートライン捉えるかの違いだと言うことです。
ラテンは上体がスタートと考えるから下半身が後からついてくる感覚でいますが、スタンダードと同じように骨盤の運動をスタートと考えたなら、その後にくるのは上体の動きですから、上体が下半身の後から動くと言うことも出来なくはないと言うことです。
最近踊っていて思うこと
上体と下半身の時間差を作る意識は、体の使い方の知識として理解してから今日までずっと私が踊っている最中に一番意識しているテクニックです。でも自分の体でやればやるほど思うのです。「下半身がきちんと使えて初めて上体がしっかり動かせるのだな」と。
ターンするときは上体を使う前にきちんと骨盤をセトリングしなければ腰を残して上体をスムーズに動かせません。移動するときに背骨を先に進めてから足を着地させようとはしていますが、背骨を進めるとは=足で床を押すこと、送り足を使うことなしには出来ないことなのです。
ダンスについての考え方は、自分の中でもいろんな時期にいろんな考えに変化しますが、やはり「土台がすべてを決める」と今は思っています。美しいラインも強いトーンもしなやかな上体の動きも土台がしっかりとあってこそです。家もダンスも組み立てる時は必ず下からです。社交ダンスにおいては床っと接している唯一のパーツは足だけですよね。足で床を押すからしっかりと安定して立つことができ、足で床を動かすから背骨は先へ進んでいくことができるのです。
シャドーMANIA!の動画を気に入ってくださっている方達には日頃から上体が先です。上体が先!と言い続けておりますが、それを実践するためにはまず土台となる足元や骨盤がしっかり使えていること、良いポジションに位置していることが本当に大切なのだと言うことを常に頭の片隅におきながら動画のレクチャー内容を参考にしていただきたいです。